self portrait

第7回 「From Russia with Love - 獄門鬼からの道しるべ -」

皆様こんにちは。今回お届けするのは、ロシアで行われたサンボワールドカップ、試合後のお話です。

格闘技はスポーツ競技である以上、言わずもがな「勝つか、負けるか」の世界ですが、「勝つ」という言葉以上のさらに過激な闘争心が必要です。

そのような精神で肉体と肉体をぶつけ合い、その痛みを両雄で共有する事が関係しているかどうかは分かりませんが、格闘家の持つ優しさと器の大きさは一種独特なものを感じます。

そういえば、私が高校生だった頃ですが・・・新日本プロレス観戦後、選手らと同じホテルに宿泊。サインをもらおうと俳諧していると、地下階にある飲み屋のカウンターでなんと、マサ斎藤(※1)とビッグ・バン・ベイダー(※2)の二人を発見!緊張しながらチョロチョロ顔を出したりひっこめたりしているうちに店主が出てきて声をかけてくれました。

「プロレスファンかい?入っておいでよ」

とんでもない!なんて言いながら、接触したい気持ちを抑えていると、

「レスラーはね、身体で飯食ってるでしょ?だから心がとても大きいんだよ」

その一言に導かれ、私を無言で迎え入れたマサ斎藤とベイダーは表情を変えることもなく、丁寧にサインだけすると二人は会話を再開しましたが、それを遮るかのように、どうしても伝えたかった言葉をマサ斎藤にぶつけました。

「斎藤選手!巌流島決戦(※3)、本当に感動しました」

すると一瞬笑みを浮かべたかと思うと、踵を返しながら溜息混じりに一言。

「過去の話だよ・・・」

素っ気のない言葉の中に、ファンに対する温かさと、私が影響をうけた彼の信条である「Go For Broke (当たって砕けろ)」という前向きな生きざまをダイレクトに感じ、格闘家としての指針を示してくれました。

 文字数の関係上、試合後の話まで到達できませんでしたが・・そんなスケールの大きさを持ちあわす男たちと語り合った一夜は次回にお送りしたいと思います。

 

(※1)東京五輪レスリング元日本代表。全米では日本人として長期にわたり最も成功したレスラー。

(※2)日本の主要タイトルを全て奪取した最強外国人選手。

 

(※3)長年のライバルであったアントニオ猪木との決着戦を巌流島で、時間無制限、ノールール、ノーレフェリー、無観客で行った伝説の一戦。2時間5分14秒の死闘の末、TKOで敗れた。